不動産を共有している状態だと、その不動産の利用や処分には制限がかかるため、共有状態を解消したい方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、持分放棄と不動産取得税についてご紹介します。
不動産を共有する可能性がある方は、もしもの時のために知っておきましょう。
□持分放棄って何?
持分放棄とは、自分の権利上にある共有持分を放棄する行為のことを指します。
これをするためには、放棄したい共有者が意思表示するだけで可能です。
自分の持分であれば、自分の判断で放棄するのも自由なのです。
しかし、持分放棄ならではの問題があるため、スムーズに持分放棄できるとは限りません。
スムーズに持分放棄ができない理由は、贈与ではないからです。
贈与は、贈る側と受け取る側の意思により、贈与契約を結ぶことで成り立つ法律行為です。
贈る側と受け取る側の2人が贈与に同意した状況でなければ、成立しません。
対する持分放棄は、他の共有者の同意が不要です。
ただし、登記の手続きをするためには、他の共有者に協力してもらう必要があるので、実際は贈与も持分放棄も、共有者に同意してもらう必要があるのです。
さらに違う点は、贈与の場合他の共有者はもちろん、共有者以外の特定の相手にも贈与できます。
それに対し持分放棄においては、放棄された持分を引き受けるのは、必ず他の共有者全員でなければいけません。
□ 持分放棄の方法について!贈与税や不動産取得税がかかる?
持分放棄をしていても、登記していないと対外的には変化がありません。
登記によって権利移転が生じ、税金もかかってきます。
それらの税金の種類には、固定資産税と贈与税、不動産取得税の3種類があり、放棄された持分の取得者には、贈与税と不動産取得税がかかってしまいます。
贈与税に関する問題が、持分放棄におけるトラブルの原因になることがあります。
他の共有者が望んでいないけれど、持分放棄がされると、持分の取得者は贈与税を払わなければいけません。
この贈与税は税率が高いため、取得者の反感を買いやすくなってしまいます。
贈与税の他にも、不動産取得税の納付義務が生じます。
いらない持分を押し付けられたうえに、高額な税金負担まであると、他の共有者との関係悪化は免れないためよく考えて決めましょう。
□まとめ
今回は、持分放棄と不動産取得税についてご紹介しました。
持分放棄では、他の共有者の同意を受けていなくても、放棄するかを自己判断で決められます。
しかし、持分放棄した際には、その事実を自分以外の共有者にも伝える必要があるため、他の共有者に登記の協力をお願いしなくてはなりません。