共有持分を放棄したい。
そう思っているあなた。
少しでも迷っているのであれば、今一度考え直してみてはいかがでしょうか。本記事では、共有持分を放棄する際の注意点と不動産取得税について紹介するのでぜひ放棄する前にみていってください。
□共有持分を放棄する注意点
共有持分を放棄する際は、主に3つの注意点を覚えておくと良いでしょう。
1 相続放棄すると共有持分だけの放棄は不可になる
相続を放棄すると、全ての遺産分割に参加できません。
なぜなら、相続放棄は、自分が最初から相続人でなかった人間として処理されるからです。
つまり、相続放棄は「相続したくない不動産を一部だけ放棄する」ということが不可能となるので注意してください。
2 分譲マンションだけの制限がある
分譲マンションでは、専有部分だけの持分放棄や敷地利用権だけの持分放棄ができません。
なぜなら、基本的に分譲マンションは建物(専有部分)と敷地の利用権が一体となっているものであるからです。
どちらか片方だけ放棄したいと思ってもできないということですね。
しかし、万が一専有部分と敷地利用権が別々で登記されていた場合は、別々での持分放棄が可能になります。
どちらにせよ、一度確認してみることをお勧めします。
3 共有持分売却という手段も考慮する
共有持分放棄よりも共有持分売却の方が良い場合があります。
違いは文字通り、「放棄」か「売却」です。
その理由は、売却の方が手間を省ける点にあります。
仮に、共有持分放棄を選択した場合は、放棄のために他の共有者にわざわざ登記を行なってもらわなければなりません。
一方、共有持分売却であれば、不動産会社へ売るだけで済み、他の共有者に関わる必要なく共有持分を手放せます。
従って、共有持分を手放す手段を今一度考えてみると良いでしょう。
また、共有持分の放棄によって不動産を取得した方には贈与税と不動産取得税が発生します。
□「贈与」と「放棄」
不動産の共有持分には「贈与」と「放棄」によって不動産売却時の課税関係に違いが生じます。
まず、不動産の贈与や放棄によって不動産を取得した方はどちらの場合でも贈与税がかかります。
贈与の場合は、共有者が共有持分を他の共有者に贈与することを意味し、その場合は、受贈者に贈与税が課税される仕組みになっています。
放棄した場合は、民法上、単独行為とみなされ、贈与に該当しないため贈与税が発生しませんが、相続税法条においては贈与とみなされ、他の共有者に贈与税が課税されます。
一方で、その不動産を得た人がその不動産の売却を試みる場合は、「贈与」と「放棄」のどちらによって取得したのかで課税関係が異なります。
具体的には、贈与は譲渡所得を算出するための取得費を引き継ぐことになりますが、放棄の場合は概算取得費(売却金の5%)が取得費として計算されます。
□まとめ
共有持分を放棄する場合は以下3点に気をつけましょう。
1 相続放棄すると共有持分だけの放棄は不可になる
2 分譲マンションだけの制限がある
3 共有持分売却という手段も考慮する
この場合の不動産取得者には贈与税と不動産取得税が発生します。
また、共有持分の「贈与」と「持分の放棄」では課税関係に違いが出てきます。
贈与か持分の放棄をしたどちらの場合でも、贈与税は発生しますが、その不動産を売却する際に発生する譲渡所得税の算出に影響を与えるため、覚えておきましょう。