夫名義の家を相続するときに主張できる妻の権利とは?

 

夫名義の家に暮らしていると、そこに住む妻にはどのような権利があるのかと気になる方は少なくないでしょう。
特に、離婚や死別の際には、家がどうなってしまうのかと不安になる方は多くいらっしゃいます。
そこで今回は、「夫が亡くなった際、夫名義の家はどうなるのか」「妻にはどのような権利があるのか」といったテーマで解説します。

□妻の権利を確認しよう

夫が亡くなった際、持ち家が夫名義のものであっても、妻の権利はしっかりと守られます。
具体的には、妻がその家に住み続ける権利が守られるため、「相続税を払えなくて家を売却することになってしまうのではないか」といった心配は不要です。

夫が亡くなった場合、家は相続の対象となるため、基本的には妻や子などの配偶者が引き継ぐことになるでしょう。
こうした相続の対象となる住宅には、「配偶者居住権」という権利が定められています。
配偶者居住権とは、住宅の所有者が亡くなった場合、遺された配偶者(同居していなくても可)がその自宅に無償で住み続けられる権利です。

配偶者居住権の考え方のもとでは、住宅の所有権は取得せず、居住権を取得するといった方法がとられます。
このようにすることで、高額な相続税を支払うことなく、夫名義の家に居住し続けられるようになります。

配偶者居住権が定められる以前は、夫名義の家を相続した際に、相続税の負担の大きさから、相続した不動産を売却せざるを得なくなるケースが少なくありませんでした。
しかし現在では、相続法が改正され、このような問題は起こらないようになっています。

配偶者居住権を行使する際には、以下のポイントに注意しましょう。
・別居していた配偶者には権利が認められないこと
・権利は人に譲れないこと
・居住権の相続であっても相続税が発生しない訳ではないこと

居住権の相続は所有権の相続に比べると相続税が安く済みますが、相続税が全くかからない訳ではないため、きちんと把握しておきましょう。

□夫名義の家を相続する際にかかる税金は?

夫名義の家を相続する際には、以下の税金が発生します。

・相続税
・登録免許税

一方、夫名義の家を生前贈与で取得する場合は、以下の税金が発生します。

・贈与税
・不動産取得税
・登録免許税

どちらの場合においても発生する登録免許税は、死亡後の相続では不動産評価額の0.4%ですが、生前贈与では評価額の2%といった違いがあります。
こうした違いから、「生前贈与よりも相続の方が安く済むのではないか」とお考えになる方もいらっしゃいます。

しかし、実際は控除などの関係で生前贈与の方が安く済む場合もあり、一概にどちらが良いとは言えません。
どちらの方がより費用を抑えられるかはご自身では判断が難しい場合も多いため、専門家の意見を仰ぐことをおすすめします。

□まとめ

今回は、夫名義の家を相続する際の妻の権利について解説しました。
夫名義の家であっても、配偶者である妻にはそこに住み続ける権利があり、そうした権利は「配偶者居住権」として守られています。
この権利のもと、家の相続では所有権の相続だけでなく、居住権のみの相続も可能となっています。
ご存知でなかった方は、ぜひご確認・ご活用ください。

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